沖縄ブームが来て久しい。ミュージシャンが大活躍し、サミットが行われ、リゾート観光地としても大人気。そして独特な美男美女が多いこともポイント。さらには使うのにいちいち確認してしまう二千円札まで。
“芸術は爆発だ!”でお馴染み岡本太郎が、沖縄を訪れたのは返還前の1959年のこと。まだ渡航するのに証明書が要った時代。1929〜40年までパリに留学し、芸術活動の傍ら、哲学、社会学、民族学を専攻していた彼は、いまだ神聖さを残した神事を行い、神が生活の重要な部分をなしていた沖縄に強く惹きつけられた。なんと2度目の渡航時(1966年)、久高島では風葬がまだ行われていたということの衝撃は大きい。
沖縄には古典美術や首里城などたしかに“いいもの”はある。が、常に台風などの自然現象と対峙してきた人びとの生活には、堅牢さや永続を狙った文化やモノがなく、その時その時を生きる流れのようなものがあるのだ、と筆者は言う。そしてその結果の“何もないことの眩暈”が存在すると。モノを溢れさせるのではなく、悠々とした時間の中、生活の必然から生まれる美に囲まれ、古来から人間を媒介とし、神と共に生きる。現代に稀な清浄さで。
そうした歴史と自然、文化そして人と接触する時の初源的な驚きを感じてみてほしい。研究者のような論理のみに陥らず、芸術家としての直観を援用した見事な沖縄論。読んだ先には太陽の塔が見えてくる...かも。
|