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¥1,050 *
 
表徴の帝国
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著者:ロラン・バルト 訳:宗左近 
出版社:筑摩書房(文庫) 
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ロラン・バルトといえば、「エクリチュール、ごにょごにょ・・・」という具合に、頭の中がもやもやしてくるけれど、日本について書かれたこの本は、テーマのせいか親しみがあり、ことのほかおもしろい。彼の観察の仕方は、細やかで、哲学的で、時には考えすぎのようにも思えるし、理屈をこね、意味のないことにも意味を与えすぎていて、おかしくなってくる。でも不思議とこの国について、いろいろと考えてみたくなってくるのだ。彼が驚きと共に発見している日本のあれこれは、日本人にとっては、ごく普通のことだ。日本のもつ言語、料理(天ぷらやすきやきの考察には驚いた)。街のつくりや住所。日本人の顔、平身低頭。表現、習慣。それらに驚き、美や意味を見出し、それが日本という国につながっていく。日本っておもしろい国だったのだ。今の日本には彼も嘆くかもしれないけれど、わたし達はやっぱり、自国について、もっと考えるといいのだろうと思う。
※去年出版された30年ぶりの新訳「記号の国」訳:石川 美子(みすず書房)3570円も取り扱っております。
   
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失踪日記
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著者:吾妻ひでお 出版社:イースト・プレス 
ジャンル:紀行
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どこかを目指して行くわけじゃない失踪は、旅とは言えないかもしれない。でも、この失踪体験漫画が、そこらの“男情熱ひとり旅”の話しなんかより何百倍もおもしろい物語なことに違いはない。どちらも“ここではないどこかへ”という点では一緒。
漫画家生活に突然嫌気がさし、「たばこを買ってくる」と、そのまま失踪。それからゴミを漁り、乞食と呼ばれ、雪に埋もれて新年を向かるという、圧倒的な離れ業を日々成し遂げる。保護され、強制帰宅、また失踪。帰ってきたら、今度はアル中で施設に入院。
壮絶な体験を大袈裟に自慢するでもなく、卑下するでもなく、冷静にギャグ漫画としてアウトプットするのは実は難しい。笑えるということはその事実を理解できているということだし、自分を第三者として他人視できることは、物語作者にとって決定的な能力。この漫画にはその二つの高度な一致がある。今流行の漫画とは違う丸い絵も改めて見ると新鮮。<第34回日本漫画家協会賞大賞受賞作品>
   

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僕が愛した路地
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編著:田村隆一 出版社:かまくら春秋社
ジャンル:小説・エッセイ

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歩くリズムと、街のリズム。視線の動きと、空の動き。匂いの感覚と、季節の移ろい。人の生活にはそんな気付かないようなささいな関係がたくさんある。でも、今の東京にはそうした自然なことが欠けている感じ。詩人の田村隆一(1923〜98)が、“鎌倉でなら、死んでもいい”と言ったその鎌倉に居を構えたのは1970年(残念ながら亡くなったのは目黒の病院だった)。十井と呼ばれる十の井戸や、十橋と呼ばれる九つの橋。海岸や、サーファー。お寺に、行きつけの居酒屋。昼間賑わう観光客、閑散とする日没後。ジャンク化した東京と、閑暇な、でも徐々に変わりつつある鎌倉。住む人間にとって、日々変わりゆく街並みは、違和感だっただろう。
でも、田村隆一は鎌倉に住んだ。変わらぬ路地があり、歩く道があったから。それは友人や、飲み屋、海へと繋がり、帰りには、妻の待つ家へと導いてくれる。故郷よりも愛着の沸く街はそうあるものではない。多くの文人が愛した鎌倉の表情はとても豊かだ。
※新品ですが、古い本のため若干の汚れ・傷み等があることがあります。ご了承の上、ご注文ください。
   
¥1,995 *
 
孔雀の羽の目が見てる
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編著:蜂飼耳 出版社:白水社 ジャンル:小説・エッセイ
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蜂飼耳さんは若い詩人。その蜂飼さんが書いたエッセイ集は、去年、出版業界でもちいさく話題になっていて、わたしが去年読んだ本のなかでも、もっとも静かに心に残る本となった。
本屋で見かけたとき、「蜂飼耳」という名前が、ちいさな密蜂のように入り込んだ。
そして、詩人の荒川洋治さんが、どこかで書いていた人だと気付き、(それは中原中也賞受賞のときだったかもしれない)この本と出会った。そしてひととおり読んだ後思ったことは、蜜蜂のような人だということ。日々の暮らしは、ひどく単調なようで、季節が変わったり、誰かと会ったり、常に何かちがうことが起こっている。なのにアンテナが弱ると、毎日同じみたいで、変化を察知しなくなったりする。または、感じても、言葉にならずに消えたりする。それをおいしい蜂蜜みたいに集めて言葉にできるのが、蜂飼さん。たとえていうなら、いろんな花の密をあつめた蜂蜜。その日の気分でふわっと、味わいは変わるかもしれない。だけど、読んだ後には感じるだろう。ちいさなところに、いろんなものがひそんでいて、それを感じることはとても素敵でおもしろいことだと。
菊池信義さんによる装幀も素晴らしく、チリと呼ばれる部分(本文ページと、カバーの紙とのずれの部分)にずいぶん余裕がある。その幅はまるで余白のようで、そこにはまた、何かがひそんでいるのだ。
   

¥3,360 *
 
建築を見る エスキスシリーズ 谷口吉生「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・図書館」
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編著:古谷誠章 出版社:彰国社 ジャンル:建築
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昨年、新生MOMAを手掛けた事でも知られる谷口吉生。そんなMOMAよりも、法隆寺宝物館よりも、僕の大好きな豊田市立美術館よりも先に建てられたのが、ここ猪熊玄一郎現代美術館だった。いうなれば谷口的美術館の礎となった場所。そんな香川県丸亀の駅の真ん前にある美術館が、どんな経緯で、どこをどう工夫して建てられたのか?がこの本にはまとめられている。建築設計の諸要素を学ぶためのガイドブック。
   
¥660 *
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恐るべきさぬきうどん 麺地巡礼の巻
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著者:麺通団 出版社:新潮社 ジャンル:ガイド
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讃岐うどんブームの火付け役ともなったこの本。「大衆セルフ」とか「秘境うどん屋」とか「ぶっかけ・ひやひや」とか、独特香川的なうどん用語はここで一般化したと言っていいだろう。四国という風土に根付く、奥深い伝統ファーストフォードも、ここまで真摯に食べ歩かれれば本望だろう。多少、うどん屋の住所変更なども進んでいるが、これを片手に讃岐うどん廻りなんてのも、まだ充分にできるだろうし、読み物としても十二分に楽しめる。目の前にない美味しいものを、どこまで想像させて、どこまで唾液を分泌させられるかが、食べ物本の善し悪しをはかる尺度だとしたら、本書は間違いなくAランク。その続編『恐るべきさぬきうどん_麺地創造の巻』も併せてどうぞ。
   
¥560
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うまひゃひゃ さぬきうどん
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著者:さとなお 出版社:光文社 ジャンル:小説・エッセイ
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当時大阪在住だったCMプランナーが、妻子と共に讃岐うどん道にはまってゆくエッセイ。『恐るべき〜』シリーズに比べて、ひとつひとつのお店に対する著者なりの評価がはっきりと記されているが、テンポも軽くて、多分一気読み系。正直、うどん屋の評価に関しては千差万別だと思うのでそんなにシリアスに捉えるべきではないと思うが、ひとつのもの(この場合うどん!)にどっぷりと入っていく大人少年心は、充分に煽ってくれます。
   
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東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編
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著者:菊地成孔・大谷能生 出版社:メディア総合研究所
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本書冒頭、“人間が編纂する歴史は総て偽史に他ならない”とする著者菊地成孔の説に大いに賛成。だから本書も偽史に違いない。だけど、歴史のおもしろさや意味は、真偽を越えたところにこそある。例えば、“クリエイティビティを保ちたきゃ、若い奴とつるめ”といったマイルス・デイヴィスのちょっとしたエピソードとかにでも。
バークリー音楽院の記号学的なメソッドを中心テーマに据え、モダニズムが叫ばれた20世紀、音楽で唯一モダンを名乗ったジャズとはなんだったのか、ビバップ、モード、フリーと通史的に論じる。雄弁で、批評精神溢れる異能のジャズメン二人の、理論的だが、くだけた話し言葉の講義は素人でもわかりやすく、読んでいて純粋に楽しい。アルバート・アイラーやオーネット・コールマンを喜々として爆音で流す授業(しかも東大で)なんて、聞いただけで興奮する。なによりジャズの理論化、抽象化、記号化といった知的な飢えを満たす好著。もうこれは、ジャズ史のニュースタンダード。
   

¥735
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お茶の水界隈
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絵:nakaban 出版社:トムズボックス サイズ:18.2cm×11.5cm
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「お茶の水って、そうしょっちゅう行くわけじゃないけど、愛すべき街だ」と思っていた。まさにそれを体言したような本がこれ。お茶の水にピン!とくる人なら、手にとったらにっこりせずにはいられないだろう。だって、表紙からいい。なんともいえない、コバルト・グリーンの表紙には、白い線で「聖橋」。「ニコライ堂は僕の父」で、「山の上ホテルは僕の母」「アテネフランセは姉さん」で、「エチオピアは兄さん」なのだ。そう、たとえば、フランス語を習おう、と思ったときも、ピカピカな他の学校より、あの古いアテネフランセがなんとも可愛くて、アテネフランセにしてしまうような人にはきっと分かる、このかんじ。
そんな親しみと愛情とをもって、絵描きのnakabanさんが、お茶の水のあちこちを、スケッチしたものだ。神田川、丸の内線、中央線、総武線。湯島聖堂の石垣、お茶の水駅。ニコライ堂、明大通り・・・最後はお茶の水橋でおわる。たしかにお茶の水はこんなふうに見える、と思い、おなじようにお茶の水を愛する人に、見てもらいたいと思った。表紙を含め、13点の絵が収録。おすすめです。
   

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新版 沖縄文化論−忘れられた日本
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著者:岡本太郎 出版社:中央公論新社  

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沖縄ブームが来て久しい。ミュージシャンが大活躍し、サミットが行われ、リゾート観光地としても大人気。そして独特な美男美女が多いこともポイント。さらには使うのにいちいち確認してしまう二千円札まで。
“芸術は爆発だ!”でお馴染み岡本太郎が、沖縄を訪れたのは返還前の1959年のこと。まだ渡航するのに証明書が要った時代。1929〜40年までパリに留学し、芸術活動の傍ら、哲学、社会学、民族学を専攻していた彼は、いまだ神聖さを残した神事を行い、神が生活の重要な部分をなしていた沖縄に強く惹きつけられた。なんと2度目の渡航時(1966年)、久高島では風葬がまだ行われていたということの衝撃は大きい。
沖縄には古典美術や首里城などたしかに“いいもの”はある。が、常に台風などの自然現象と対峙してきた人びとの生活には、堅牢さや永続を狙った文化やモノがなく、その時その時を生きる流れのようなものがあるのだ、と筆者は言う。そしてその結果の“何もないことの眩暈”が存在すると。モノを溢れさせるのではなく、悠々とした時間の中、生活の必然から生まれる美に囲まれ、古来から人間を媒介とし、神と共に生きる。現代に稀な清浄さで。
そうした歴史と自然、文化そして人と接触する時の初源的な驚きを感じてみてほしい。研究者のような論理のみに陥らず、芸術家としての直観を援用した見事な沖縄論。読んだ先には太陽の塔が見えてくる...かも。

   
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